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KDC
やまとの国の歯科医院

WHAT

歯科医院

WHERE

北葛城郡

WHEN

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奈良県中西部に位置する歴史の面影が残る丘陵地帯、地域に根付いた歯科医院の計画。敷地は町の中でも比較的中心に位置する平地で、環濠集落の名残でお濠が巡っており、古い意匠の建物に囲まれている。

幹線道路の狭小区間のために交通の混雑が起こりやすい場所であることと、T字路の突き当りにバス停があり、その背面に建物があるという位置関係であることから、敷地の一皮は、道路の一部としてパブリックな設えにすることが早々に決まった。そのような考えのもとで、外構計画は、建物と一体造形となるベンチやスロープ、周囲を彩る舗装や植栽を整えていく事で、場に応じた内外の繋がり方に強弱をつけている。

建物のボリュームは分節して周囲のスケール感に合わせ、複数の建物が連なったような佇まいとした。勾配屋根の軒を道路側に延ばし、庇の下でバスを待ちながら地域交流ができるような、目的がなくとも寄り合える場所を目指した。

歴史の香り漂う近隣の建物は、庇の効果で雨がかりの少ない外壁の上部は漆喰、下部は吉野杉の板張りという、主に2つの材料が風景をつくっている。本件ではその意匠を再解釈して、上部を杉、中間部をガラスと金属、下部をコンクリートとし、風景に参加しながらも特徴的な佇まいになるよう意識した。中間部に配したガラスの高さは、歯科医院という用途の上で視線のコントロール機能にも寄与している。 

 

平面は、待合い・受付・事務エリアと診察エリアとを、患者とスタッフそれぞれの動線で結ぶことで、全体として回遊できる動線とし、その中央に器具の消毒室やレントゲン室、トイレなどを配置することで、周囲への開放性と使いやすさを両立している。高さのある中央のボリュームは、ハイサイドから光を取り込みながら、建物全体の換気を行うための空気の流れをつくっていて、両サイドのボリュームには中庭を配した切り込みがある。

建物のどこにいても明るくてすがすがしく、視線の先には緑が感じられるような居心地の良い歯科医院をイメージした。

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